人生を変えたくて
前髪を切ったことがある。
それはちょうど去年の今頃の話。
面接を受け、100%の合格率なのに
その後どうしても続かないアルバイト。
恐らく30社ほどの
アルバイトオリエンテーションは受けた。
でも次の日から、何故か行けない。
アルバイトすら続けられない自分。
他の人にはできてる我慢が
できない自分。
なんにもできない自分に、
なにもない自分。
どうやってこの先
生きていこうか真剣に不安で、
いつも憂鬱で、
そんな状態だからこそ
何に対しても無気力。
そんななかで唯一続いた
キャバクラのバイト中に
"ロリっぽさを強みにしていけ"、と
店長とお店のお姉さまたちから
アドバイスを受けた。
ああ、そっか。
この長い前髪が似合ってないんだ。
前髪を切って
カラコンのサイズを大きくして
ロリっぽい可愛い系を極めれば、
もねの生きる道が開けるんだ。
もねにもなにか
できることが見つかるんだ。
やっとこのドロトロした
気持ちから抜け出せて、
人生、変えられるんだ。
自分になにかある、
そう思いたかったから、
そのなにか、が
水商売であろうとなにであろうと
全く構わなかった。
"良かった!なにか、あった!"
その考えは
もねをとても興奮させ、
ドキドキさせた。
そして
いてもたってもいられず、
次の日美容室に行って
3年間あまり伸ばし続けていた、
トレードマークの長い前髪を切った。
でも、
人生が変わることはなかった。
友達やお客さんから
可愛いじゃん!と
薄っぺらい賛辞を貰えたこと以外、
それまでの日々と
なんら変わりのない毎日。
むしろ、何百回目かの
人生を変える挑戦に失敗して
さらに自分が嫌になるばかりだった。
そんなことを思い出した今日。
何故かって、
今さっきまで
人生を変えたくて、
二重にしようと
美容整形クリニックに行っていたから。
ぱっちり二重まぶたになれば、
なんだか将来が開ける気がした。
見た目が可愛ければ
どんな業界でも有利だと思った。
成功できると思った。
人生が変わる気がした。
そう思い立ったら
やっぱりいてもたってもいられず、
今日中に手術をしようと
予約を入れた。
カウンセリングを受けて、
お金も払い、
さあ手術、という段階で、
去年、前髪を切っても
人生が変わらなかったことを思い出した。
自分が行動しなければ
人生は変わらないってことを
思い出した。
ぱっつんの前髪も、
タレ目メイクも
ピンクチークも、
人生を変えてはくれない。
誰かが、なにかが、
人生を変えてくれるなんて
絶対にありえない。
そんな当たり前のことを
思い出した。
そんなことを思ったと同時に
診察台から飛び降りて、
ぱっちりとした目を手に入れる代わりに、
本屋さんに行って、
沢山の学びを買うことにした。
自分で自分の人生を
切り開いていく為の参考書。
(あくまでも参考書)
ここ最近は
何ヶ月ぶりかに再会した
心の中のドロドロにより
無気力状態が続いてきて、
"もねの人生、
こんなもんか。
一瞬なにかを掴めたように思えたけど、
結局何事も頑張れず、
何事も成し遂げず
死んでいくのかな〜〜"
と
悔しさとか悲しみとかを
通り越して
ただただぼけーっと
宙を見つけることが多かった。
考えることが趣味なはずなのに
考えることすらも嫌だった。
野心家な同世代の話にも
うまくついて行けず、
あ〜。
このまま置いていかれる。
そう思い、
でもだからといって
闘争心が芽生えるわけでもなかった。
"自分にはなにもないかもしれない"
このことを突きつけられるたびに
恐怖に襲われる。痛みが伴う。
でもその恐怖にさらされて、
嫌になって絶望して、
だから頑張ろう、
そう思え、
何度でも立ち上がれるのは
もねの一種のパワーであると思うし、
そう信じたい。
絶対に
自分を諦めることだけはしたくない。
そんなことを思う、
大学三年生の夏休み初日でした。
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